2012年1月24日

小学生以上は皆読むべき「続・資本論 (まんがで読破)」



始めに書いておきますが私はマルキシストでもコミュニストでもありません。マルクス、エンゲルスの正式な本は読んだことが無く、少々共産主義について昔から本等を読んでいたくらいです。それも学生時代、警察に関心があった頃、公安警察が何故、あそこまで共産主義者をマークしていたかに端を発して軽く知識を付けていた程度です。
で、昔、思想に知識のある父が”最近の政治家は資本論すら読んでいるか怪しい”とか言われたりしたのもあって、マルクス、エンゲルスの本には関心があったのですが、ドストエフスキーの本(旧訳)を読んで外国古典の読書のしんどさがトラウマになってそのような本は中々手を出せない・・・といったところで手っ取り早くアウトラインを掴める本としてこの「まんがで読破・資本論」を読んでみました。まぁ、どんなものかと知りたかったくらいのノリです。

感想としてはおそらく原書との相違はかなりあるこそすれ、これはとても手軽に読める良著だと思いました。一番の印象はこんな昔に今の経済(資本主義の行き着く先)をしっかりと予測していたのが偉いものだと思いました。産業革命後のヨーロッパで既に格差は生まれていたとは言え、一億総中流の時代を経て、その後こんなになった日本の現状を浮き彫りにし、それに至る経緯を理論付けて非常に分かり易く説明しているこの内容は小学生高学年くらいになったら、一度は読んでおいた方が良いと思います。その方がまだ選択肢の多い若い内に、将来に関わる幸福な機会の喪失が回避できる可能性がうんと増えると思うからです。

”貨幣”の説明から始まり、”可変資本”の縮小、君主制から自由になったけど資本家階級無しでは生きていけない労働者階級のこと等、経済の基本的なことが(専門用語がちりばめてありつつも)学べることができ、知らない用語が多くて漫画と言いつつ、とても面白い内容で思わずノートを取りながら読んでしまいました。
何故、経団連が労働者を三種類に区別するようにしたかとか、非正規労働の規制緩和と増加などについて、説明できるようでもこういうちゃんとした理論を少しでも知っていれば少しは厚みを持って説明できると思います。

まんがで読破シリーズではチーズ工場の顛末を軸にして語られる「資本論」・「続・資本論」の二部構成ですが、「資本論」は導入と言う感じで「続・資本論」から理論的な話になります。「続・資本論」だけでも十分勉強になります。

子供が読んだら、何故、株式会社というものがあるのか、サラリーマンの危険な面などといったことを学ぶきっかけになることもあるかと思います。そして賢い生き方とは何かを無意識に模索することによって、人生に新たな彩が加えられ、社会的にも良い影響が起こるかもしれません。
非常に印象深いラストの、マルクスからの”全てを疑え”というメッセージはちゃんと理解できれば若い内に身に付けたいことかと今更ながら思います。あー、もっと勉強してたらなーなんちって、過去は変えられません

追記:
同シリーズで「共産党宣言」も読みましたが最後の結論に至るまでの雰囲気を感じると、昔の日本の学生方の一部が過激な左翼活動に参加されたのも分からないでもありません。でも、その結論は寂しい限りです。


続・資本論 (まんがで読破)








資本論 (まんがで読破)












  • Karl Marx(1818年~1883年) 19世紀を代表する思想家というか経済学者兼哲学者兼革命家。ドイツ出身だが、後にイギリス(ロンドン)に移り活動。 「科学的社会主義」を盟友のエンゲルスとともに創設し、また、資本主義体制に対する革命運動に尽力。 主著は「.. 続きを読む
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