一言感想:(良い意味で)細けぇことはいいんだよ!
実話に基づいたベトナム戦争POW(戦時捕虜)脱出の映画です。脱出がメインなのでそれ以外の要素は結構適度に手を抜いている感じです。ですがそれ以外は過酷すぎる環境をガッツリ描き、派手さは一切ないシリアスな戦争問題映画となっています。派手な銃撃戦とか別にいらない戦争映画好き人にはおすすめです。
主人公ディーター・デングラー氏の英語版wikiに脱出行について書かれているので実際に起きたことはある程度補完できます。ちなみに収容所で出会う先輩囚人はエア・アメリカ所属と名乗ってます。すごくいかがわしい雰囲気ですがエア・アメリカは実質CIAなのでこんな感じかーと思ってましたが、上記wikiによるとエア・アメリカに雇われた民間人だそうです・・・よほど報酬が高かったのでしょうか。
クリスチャン・ベールの役作り(ダイエット)の本気さがうかがえます。この人はほんとすごいと思う。
【良かったところ】
・変な邦題ではない。原題通り”レスキュー・ダウン”にしたらブラックホーク・ダウンのパチモンと思われることを回避したか。
・主人公以外も含めてガリガリにやせ細った役者の役作り。
・あくまで収容所からの脱出にフォーカスしている。
・脱出に至るまでの小細工が理解しやすい。
・ジャングルの過酷さがよく分かる、山蛭とか本物???虫も本物食べてたみたいだし。
・いざというときのメンバーの行動がリアル・・・。やっぱり追い詰められた人間の行動は読めない。
・越境秘密作戦という個人的に好きなテーマに関わっている。秘密作戦は外交と紙一重なので今起きているニュースにも過去行われていたことがつながったりします。
【イマイチなところ】
・墜落までの、脱出成功からの描写がチープ(特に墜落シーンの手抜きっぷりは必見、ちょっと面白い)。
・銃の状態を確認しない、裸足のまま強行軍を続けるとか細かいところ気になります。
・情報機関っぽい人の服装が極端、実際は知りませんが流石に黒スーツはないでしょう・・・。
・お祝いのケーキ、蓋とかカバーせず空輸してきたことがとても気になる。
・結構重要な情報を持っている主人公、あんな拉致していいのか。映画的演出のためか。
・このまま脱出できるか!ってところでヌッと現れる大量の北ベトナム軍(?)。
しかし一番ビックリしたのはディーター・デングラー氏は退役後、民間機パイロットになってその後に4回墜落して生き残ったという一文のところです。ヘロヘロクリスチャン・ベールにいたたまれなくなったらバットマン・ビギンズでも観ましょう。ヒーロー物はあまり興味がないですがダークナイトは良かったですね。